相変わらずホームレスです

 「松井計」誕生


 『ホームレス作家
について書いてきました。
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松井氏のホームレス体験は、幻冬舎より無事出版されました。松井氏は作家としての自分をとりもどしたのです。
本名による初めての出版となったことを思えば、
再生というより、「松井計」誕生という趣が強く、事実本書の出版以降、彼の作品テーマは変化しました。
ノンフィクションを手掛けるようになり、社会的なテーマにも挑んでゆきます。

 ホームレス体験という崖っぷちの体験が、この道へと繋がったことに、私は人生の面白さ、不思議さを感じます。

 今まで紹介してきた、西村賢太氏、カトーコーキ中川学氏もそうでした。

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崖っぶちの景色を見て、絶望し、苦しみ、あがき、その末に新しい世界に踏み込んでいます。

 このような、次の世界の扉は、高次のものから与えられるのでしょうか?いや、自らの力によってたどり着くのでしょうか?

 さて、以前投稿したこのブログで次のような松井氏の言葉を紹介しております。

私は思うのである。私は、もし仮に今の生活を終えることができたとしても、またほかの理由で足掻き続けているのではないか、と。身震いしてくる感覚だった。

この予想はその通りになりました。
「ハウス」を得ても、家族で暮らすという意味の「ホーム」をてに入れること叶わず、松井氏の苦悩は続いたのです。

  松井氏に関連する記事をネットでさがしていたところ、下記のものを見つけました。
松井氏を断罪する論調で、彼は典型的なDVであり、奥様は一緒に暮らそうとは、思わなかっただろう。
ホームレス作家』で、対応の酷い人物として、新宿区役所ケースワーカーの「本間」や、品川区役所の「羽田」が登場するが、それは松井氏のねじまがった自分本位の見方であると。

http://sakuraneko.futatsutomoe.com/Date/20160921/

 つくづくと、見る立場が変わると真逆の景色が見えるものだ!と驚きました。
私は、どちらが正しいかを知る立場にはありませんが、文章の印象だけで判断すると、
やはり、松井氏の方が客観的で公正な視点を持っているように感じました。


 松井計氏に関する一連の記事をかきましたが、この本の発行は2001年のこと。かなり過去の出来事です。
結局松井氏は奥様とは離婚なさったようです。主に「家族」に関わる社会活動に多く携わってきましたが、現在は身を引いておられます。
作家生活の方では、推理作家「矢島誠」との合作名義で、『松島京作』名で時代小説の執筆をしておられます。
なお、本書に登場する愛娘「冬望子」さんは、アイドルとして活躍中のようですよ。

本所深川謎解き控え 一番手柄 (徳間文庫)

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