手拍子そろえてチャチャンコチャン🎵

すっかり寄り道

 戦後の教育史をたどっていたのに、そちらは「消された学校巨摩中学校」で留まっております。
そしてすっかり寄り道をしております。
前回は北海道の七夕祭りについて書きました。
kyokoippoppo.hatenablog.com

 寄り道ついでに今回は、北海道の盆踊りについて書いてみます。

 私が、こちらに嫁いできたのは34年前(1982年)の6月でした。
北海道の一番気候の良いときで、かっこうは鳴き、花が一斉に咲き、天気は爽やか・・・
実に気持ち良く「ああ、私は今北海道で暮らしているんだ!」と新鮮な心持ちになったことを覚えております。


 そして夏・・・・繰り広げられていた盆踊りも新鮮でした。
本州で体験した盆踊りとは色々違っていたからです。

なんという歌詞!

 私が育った神奈川では、東京音頭あり、炭鉱節あり、オバQ音頭あり・・・・ほかにも様々な曲が流れ、都度踊り方も違い、やぐらの上の人の振りを見ながらやっとこさっとこ身体を動かすのが精一杯でした。

 ところが、こちらの盆踊りは二種類の歌が、民謡同好会のメンバーによる生歌で歌われ、踊りは始めから最後まで変わらず。
覚えたら、もう、心地よく身体を動かしていれば良いのです。そう、気持ちが良いのです。
その二種類の歌なのですが、一つは「北海盆歌」
もう一つは「北海よされ」(というらしい)
で、これも記憶が定かでなく、正確な歌詞はわからないものの、とにかくエロい歌詞だったのです。
「姉と妹に紫着せて~どちらが姉やら妹やら」・・・これは今も聞くことができる歌詞なのですが、当時は
手を伸ばしたらくるりと返って、男きらいか?男きらいじゃないけれど~・・・・・みたいな
そんな内容の歌が、耳に入ってきたのです。
こんな色っぽい歌がのびやかに歌われ誰もそれを何とも思わず踊っている。
びっくりして、感激しました。異郷の土地にやってきたことをしみじみ味わいました。
http://www.onitoge.org/bonodori/15yosare.htm

 

手拍子そろえてちゃちゃんこちゃん

 もう一つ北海道の盆踊りの特徴は、子ども盆踊りというものがあることです。これは大人盆踊りと区別され、別立てで行われます。そして、この踊りも曲と振りが決まっており、その振りで始めから終わりまで続けられるのです。
こちらも一度覚えたら身体が勝手に動くほど簡単、可愛らしく楽しい振り付けなのです。


 大人盆踊りより早い時間に始まり、最後には参加者にお菓子が配られ子どもの部は終わりになります。大人盆踊りや仮装盆踊りが予定されているときはその後続けて始まります。
入賞した際の豪華商品を目指して、奇抜で楽しい仮装をこらした老若男女が繰り出すのです。

ベッチョ節

 2016年4月21日の道新(北海道新聞)に子ども盆踊りについての記事が、その後7月16日には北海盆歌についての記事が載っておりました。
私の関心事であったので切り抜き保管しておきました。 f:id:kyokoippoppo:20180810050324j:plain:w320:left


ご存知の通り、北海道は本州からの移住者によって開拓が進められてきました。ですから当初はそれぞれの出身地の踊りが思い思いの流儀で踊られていたそうです。
 道教大名誉教授で道民謡連盟最高師範の吉田昭穂さんの言葉を借りれば、’’盆踊りの博物館といった状況’’だったそうです。
昭和の始めころから統一への動きが起こり始めます。




北海盆歌の誕生は、道内を代表する民謡家今井篁山さん(02~83)が40年に幾春別炭鉱の盆踊りを訪れて、その熱狂的な雰囲気に圧倒されたことがきっかけでした。日中戦争の真ただ中で、炭鉱は増産政策の下で全盛期。音頭取りが歌うベッチョ節は、男女の性をあからさまに表現してはばかりませんせした。「地底で命を張って石炭を掘る鉱員にとって、明日への活力だったのでしょう」と吉田さんは言います。

    (2016・7・16の道新記事より)
・・・ほほう、私が聞いて心に留めたのは’’ベッチョ節’’だったのね。さらにその「ベッチョ」
の意味を知るに及び、何ともあからさまなと思った次第です。(ご存知でしたかね?調べてみてくださいな?)

健全な歌詞に・・合わせてそして教育的配慮を・・

 北海盆歌は、戦後の復興期に今井篁山氏によって歌詞が健全なものに改められ、「北海炭鉱節」として発表されました。
後59年には歌手の三橋美智也が「北海盆歌」の名で歌いこちらがブレイクしたのです。
ドリフターズの「8時だよ全員集合」のオープニングにも使われましたのでそちらに馴染みがある方も多くいらっしゃることでしょう。
 
 このような健全化の流れにのって誕生したのが「子ども盆踊り唄」です。
 1952年5月、江別の童謡詩人坪松一郎作詞、山本雅之作曲、持田ヨシ子の歌声で全国に発売されたそうです。

 そよろそよ風 牧場に街に
 吹けばチラチラ灯がともる
 赤くほんのり灯がともる
 ホラ灯がともる
 シャンコシャンコシャンコ シャシャンがシャン
 手拍子そろえて シャシャンがシャン

炭鉱節に詳しいノンフィクション作家の前田和男さんは「最北辺境の労働環境は厳しく、苦しさを吹き飛ばそうと歌う歌も、本州の歌を圧倒する猥雑さだった」と指摘します。大人と子どもの盆踊りを分ける北海道独自のスタイルがこうして生まれたのです。

 2016・7・16日の道新より

その後・・

 調べてみますと、北海盆歌の歌詞も町々によってちがいがあるようです。少しずつバリエーションが違っていたりするのです。
 健全化に押されて歌われなくなったベッチョ節ですが、なごりを留めるものもあるようですね。


 わたしが30年以上前に聞いた「男きらいじゃないけれど~」は幻だったか、記憶違いか?検索をかけても見つかりません。

 子ども盆踊りの歌詞は、レコード発売後無断で歌詞が8番まで補作されたそうです。
坪松氏の遺族が会社側と協議し、2002年の原盤に復帰したということですが、シャンコシャンコシャンコのところは、補作で使われたチャンが定着してしまった感がありますね。

 発掘したらまだまだ知られてない北海道の歴史や、炭鉱の風物詩がでてきそうですね。
関連記事二つ貼り付けました。
Yahoo!ブログ サービス終了
下記にはベッチョ節一例が紹介されています。
photo2519.exblog.jp