AとYと土星とワーゲン

別々に暮らす生活

 結婚し、子どもももうけた娘が先の年度末に故郷に戻ってきました。
婿殿の転勤をきっかけに、別居生活となったのです。
何故?を語ることはいたしません。
ただ、二人がここまでの話し合いを比較的穏やかに進め、今後も出来る限り交流してゆくという結果にたどり着いたことには安心もし、驚きもしている次第です。

家は?

 娘としては、だから故郷に・・・・
と即断したわけではありませんでした。
今後につながる仕事を考えたとき、ここでは選択肢が非常に限られています。
しかし、総合的に考えるとやはりここ!
だったのです。
住宅料の安さはダントツです。
低所得者向けの住宅に入ることができたからです。
配偶者ではなく、居住者の収入で家賃の設定できたのです。広さも十分、立地環境も抜群(図書館、コンビニ、我が家、祖母宅、役場、文化センター、保育所すべて徒歩圏内)
とはいえ・・・・・
とはいえ、ここでの暮らしに、いや、ここに限らず道内ほとんどの区域で車は必須です。

車は?

そう、くるま!
安心なされ、我が家の裏の空き地に約一年放置されていた車があったのです。
ワーゲンです。
そう、ワーゲン!
 その車は2018年の正月の帰省の際、我が家の次男が、札幌から乗ってきて「しばらく置かせて欲しい。」と言い、そのまま置いていったものです。
その頃次男Yはホテルのウェブサイトに関わる(たぶん)仕事と掛け持ちでフリーカメラマンの仕事をしておりました。
しかし1月2月は仕事が少なく、収入の見込みが心もとないため、友人の誘いに乗ってその冬東京で働くことにしたというのです。
その間車は不用なので、我が家に置かせて欲しいということなのでした。

パソコン駆使しての仕事、フリーカメラマン、そしてワーゲン。
このワードのイメージは決して悪くないと思いますよ。
ところがね、実はこの時期、Yにとっては相当に苦しい頃だったのです。
 借金の返済に追われており、自己破産してしまおうか?という考えが浮かぶような状況だったのです。
隙間なく働いても、返しに返しても追い付かない。
身体も、変調をきたしており、蕁麻疹の痒みが精神的な切迫感を煽っておりました。
親である私たちは何をしていた?
と思われることでしょう。
私たちは手を差し伸べあぐねておりました。
この辺の事情はここでは割愛させて下さいませ。

 ひところ彼は、走るとカラカラと音のするようなおんぼろ軽自動車に乗っておりました。
もう寿命がみえており、その車は2016年の春車検切れのタイミングで廃車にしたのでした。

しかし、カメラの仕事に車は必須。
更にお金を投入し、車や器材を買い、カメラの仕事に本腰をいれるべきか?
そうすることで、どんな展望が見えるのか?・・・・

今まで新しいことに挑戦しては進んできた息子です。
迷う様子など見せたことがなかったのにその頃は、自分の行くべき道を決めあぐねていました。
決めかねつつも、働かなければ借金に飲み込まれてしまいます。その状態のまま、拾える仕事はすへて拾うという勢いで働いておりました。
そのような日々のなか前述したような身体の変調も現れていたのです。
2017年の秋、定期的な仕事をさせてもらっていた雑誌の廃刊があり、それも気持ちを落とす出来事だったことでしょう。

ワーゲンゲット

 同年(2017)秋、この時もYは仕事のため上京し、しばし川崎の叔父叔母宅でお世話になりました。
その頃この家ではちょうど車を入れ換えようとするタイミングだったのです。
Yの事情を知った二人は、売ってもいくらにもならないのだろうから、「この車を役立てて」と言って今まで使っていたワーゲンをYにくれたのでした。
諸々の手続きや、輸送費はYが負担したものの、車本体は丸々下さったのです。
ありがたいことてす。
ワーゲンはひとまず、Yの持ち物となったのです。

12室土星

その頃のYの星の様子について語りましょう。
 「29歳の頃、土星が回帰し試練を与える」とは占星術の世界ではよく話題にされるメジャーな知識です。
天体の回帰とは、生まれたときに天体があった場所に同じ天体が戻ってくることを指します。
月なら28日周期で戻ってきますが、太陽なら地球の公転周期である一年ごと・・・つまり誕生日を迎える頃に回帰します。
ホロスコープは地球を中心にして作成しますので、太陽はそのまま地球の公転周期でひとまわりというわけです。
また、地球の衛星である月と、太陽以外の天体は見かけ上の逆行現象が生じます。
土星であれば、29歳あたりで元の場所に近づき、逆行により行きつ戻りつしますので、その影響は30歳過ぎまで続くとされます。

 Yの回帰は2016年の年末、29歳のときでした。
しかも、Yは12室(12番目、最後のハウス)に土星持っております。(産まれた時の土星の位置が、彼のホロスコープの12室にあるということ)
当然回帰もここで起きたわけです。
優れた占星術家である松村潔氏は、この部屋に入った土星の影響を次のように解説しております。

12ハウスでは、集めてきた世の中のすべてのものを整理し、重要なものは残し、不要なものをとりのぞいていくというプロセスが進んでゆきます。
偏見が取り除かれ、永遠に続くような価値観が重視されていくのです。

土星が12ハウスに来ると、鬱病のようになってしまう人もいます。12ハウスでは心にあるものすべてが表面化してきます。

Yは高校卒業後、専門学校→中退→ビジュアル系バンド→ファッション冊子の発行→古着屋さん→会社設立
と様々なことを手掛けてきました。
しかし、その後会社も古着屋も姿を消しました。
その後はタウン誌発行の仕事に関わり、アイドル育成を手掛け、その過程で借金を抱えるようになったのです。
アイドルは、さあ、ここからだというタイミングで頓挫しました。
その後は、ホテル絡みの仕事と、フリーカメラマンとで生計を立てていたのですが、借金は減るどころか、日に日に彼の足場を侵食していたようです。
今までの道の果て、たどり着いたところがこのような事態だったのです。
 Yの場合単に土星が12室に来たというばかりでなく、自分の持つ土星と重なる「回帰」という形での影響です。
土星の働きかけは容赦なく、はっきりとした形でもって彼の人生に刻印を刻んでいたと思われます。

私の気持ちもざわざわと落ち着きませんでした。

明けて2018年

 前述の通り、Yは手に入れたばかりの車を我が家に預け、東京へ・・・。

一方私は、ブログを始めました。
長男の鬱は回復の兆しを見せず、次男は借金を抱えている。唯一安心を与えてくれていた娘の結婚生活のトーンまでが変わってきた・・・・。
私にとっても辛い時期だったのです。

それもそのはずか?
実は次男と私は、同じところに土星を持っているのです。(次男は私29歳のときの子どもです)
Yにとって最初の土星回帰時期は、私にとっては2度目の回帰時期だったのです。

 もともとは切迫した気分で、お小遣い稼ぎになるならと関心を寄せたブログでした。
しかし、私にとってのブログは、全く金銭に反映されることを望まずに続ける”張り合い”となりました。
”苦しみを乗り越える力”となりました。

「回帰した土星は私に「ブログ」を与えてくれた・・・私はそう思っています。

kyokoippoppo.hatenablog.com
kyokoippoppo.hatenablog.com

もともと土星は10ハウス的な意味がありますから、それが12ハウスの中に入ってくることで、とりわけ心の中は暗くなっていく人が多いようです。しかしながら、一番重要な問題となるものを扱うことになりますから、それは、非常に大切なことであって、文字通り10ハウス的な価値観が12ハウスという無限空間の中に持ち込まれ蒸留されるのです。最後の一滴まで純度を高くしなければならず、中途半端な状態になると、それはあとになるほど大きな問題になるのでここで徹底しなければなりません。
 そしてすべてが完了したときに、霧が晴れたように新しい1ハウスに突入するのです。

松村氏は12室土星に関して次のように締めくくっております。
Yのその後は?ワーゲンは?
それは次の記事で。