在庫がたまっていく

 ブログを始めてから、今までなら目の前を通過させて済ませてしまっていたであろう事や言葉が、やたら目に留まり、記録しておきたいという気持ちになっています。

 また、自分にとっての「今のキーワード」(ネガティブ・ケイパビリティとか大人とか)に関連するものが、読んでいる本や他者のブログ内で見つかって、ああ、これも書いてみよう!留めておきたい!と思うことが増えました。
 つまり書きたいこと、書いて整理したいことがたまっているのです。書き残す価値のあるものかどうかはわかりません。
でもそれは考えません。考えたら立ち止まってしまう。書きたいのなら書けばいい。
が、書いて吐き出すペースは遅々としており、
おー、在庫が貯まってゆく。
(貯金は減り続けている😖💦)

で今日は読み終わった1冊をご紹介。
うつ病と闘ったある少女の物語』

うつ病と闘ったある少女の物語

うつ病と闘ったある少女の物語


 1997年発行。著者のトレーシー・トンプソンさんは1955年アメリカアトランタで生まれています。
タイトルは少女の~とありますが、彼女がはっきりと「憂うつ」を意識した少女期から、普通の生活を手に入れた40才頃までの「うつ病」との闘いの記録です。
 当時アメリカ社会にはまだ精神障害に対する偏見がありました。トレーシーも、自分の病を認めたくないと身構えるものの、身体と心の変調に苦しみ続けました。
伴侶を見つけ結婚することに、強い執着を持ちながらもそれがかなわない彼女は地方の新聞社を経てワシントンポストの記者になります。
栄えある仕事なだけに相応のストレスにもされされ、プライベートでは共依存のように絡み合う恋人との関係がうまくゆきません。それもこれも彼女の脳内に居座る病「けだもの」のせいなのか?とにかく休まることのない日々が続くのです。

もう夏が来ようとしているのに、どんな薬や治療法を試しても、症状の改善はなかなか進まない印象だった。毎日が苦しい試練で、私のなかにいままでにない明瞭な考えが浮かんてくるようになった。この病気のせいで、命を落とすかもしれない。

ある晩そんな暗い予想が実現寸前となります。旅先でのことでした。自殺によって苦しみから逃げたいというの誘惑のなか、一本の電話でなんとかSOSを発信したのです。

 翌日にはワシントンに戻り主治医が処方箋を指示した薬を薬局で手に入れ、そのカプセルを体内に入れました。

それがプロザックだった。

 長い闘いを綴った物語ではありましたが、これを締めくくったのはプロザックという薬だったのです。
もちろん一直線に鬱を脱したというわけではないのでしようが、トレーシーは次のように書いています。

私がプロザックをのみはじめたのは、従来の抗うつ薬では中途半端にしか効かず、疲れ果てた状態が一年以上も続いたときだった。それから数週間もしないうちに、荒れ狂っていた私の精神はうそのように静まった。

 その後彼女は、新しい男性との出会いも果たし、念願の「普通の生活」を手にいれました。

 プロザックは鬱の治療薬として、一大ブームとなったそうです。(日本では認可されず)
 そして今やこの薬も過去のものになったといえるほど、その後 薬の開発は驚異的な進歩を遂げたといわれています。
多くの患者さんの福音になっているばずです。

 しかし、しかし・・・・鬱の患者は増え続けています。
私の周りでも、あの人もあの人もというくらい。
進歩をとげた鬱の薬とはいえ、それだけで霧が晴れるように回復したという話も聞きません。
 病と付き合い、連れ添い生きている方がたくさんたくさんいらっしゃるのでしょう。
 
本当に本当に、不思議な病。
やっかいな病です。