泉谷閑示のメッセージと『椅子がこわい』・・・・そして息子のこと

泉谷閑示氏のメッセージ

 うつに関する情報探しをしていて出会った泉谷閑示氏のメッセージを題材にして書いております。
その説は下記のようなものです。
一般読者が捉えやすいように、というワードで説かれております。

身体は密接につながっている。
⚫厳しい自然界相手に生きるために知恵を出し、工夫をしてきたのはの部分である。
⚫自然界のみならず人間社会の中でも、考え、先を読み、危機を回避するためにはフル活用されている。
の向かうところは、常に一致しているわけではない。その調整はもっぱらが行う。
(心と頭の間にはフタがあって、それを閉めることによって頭にとって都合の悪い心の訴えは、頭にのぼらせないようにする。)
の欲求である「~~したい」だけで回っていかないのが世の中なので、「~~ねばならぬ」という社会的義務や、自分が自分に課す規律に添って生活してゆくことはいたしかたない。→自然と優位の生き方となりやすい。
⚫しかし、このような頭のコントロールが行き過ぎたり、心の訴えを全く無きものとして暮らせば疲弊した心の影響はそのまま身体の不調やトラブルとなって表面化する。
⚫消化器官、肌、頭髪、自律神経・・・・・それが脳内の乱れにまで行き着けば、パニックや鬱をも引き起こす。


自己流にまとめておりますので、捉え方の違いがあるかもしれません。
興味を持たれた方はこちらをご覧ください。
diamond.jp

『椅子がこわい』

 これを読んで即座に思い出したのが、以前読んだ夏樹静子の『椅子がこわい』でした。
慢性化した腰の痛みの原因がわからず、あらゆる治療を受けるも一向に快癒に向かわず途方にくれた夏樹氏でした。
治療者のひとりは、彼女に次のような指摘をしました。

「あなたは心の中では本当は仕事をしたくないんじゃないか。しかし、その口実が見当たらないので、病気をつくっている。つまり病気ににげこんでいるのではないか」

それに対して夏樹氏は

私は、絶対に逃げるような気持ちはないと反論した。それどころか私は書きたくて書きたくてたまらないのに、身体がいうことをきかなくて切歯扼腕しているのだ。

と即答しております。
ところが、夏樹氏の腰痛は心因性のものだったことが後に判明するのです。
kyokoippoppo.hatenablog.com
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頭は心をもコントロールする

 となると、「書きたくてたまらない。」
というのは嘘だったのでしょうか?
しかし、この時の夏樹氏の反応に嘘の自覚はこれっぽっちもなく,正直な心情の吐露と受け取れます。
『椅子がこわい』の中でこれは、顕在意識と潜在意識という言葉で説明されております。
夏樹氏は確かに「書きたい」と思っている。
 しかし、これは自覚できる顕在意識での思いであって、意識下の潜在意識では、もう『夏樹静子』という存在を支えるのがしんどく限界を感じていたというのです。
この‘’支えきれない‘’という訴えがまさしく、
‘’身体を支えきれない腰‘’
‘’椅子に座る(執筆に向かう)ことを拒む腰‘’
の症状として表面化したのです。

 泉谷氏は「顕在」「潜在」などの言葉は用いていませんが、
頭は、心の感じ方までコントロールをすることを指摘し、心で感じているようで、実は頭のコントロールによって‘’思わされている‘’ことがあると説明しております。

ならば・・・・

ならば・・・・と私は思うわけです。
そう、息子のことです。
以後Hと記しましょう。
彼は、3年前よりニコニコ動画に編曲した作品を投稿しております。
始めのうちは夢中になり1週間にひとつという勢いでアップしておりました。

前職の任用期間を、うつでぼろぼろになりながらも全うし、自宅療養(パートナさんと暮らす部屋での)に入った後でした。
重荷であったであろう仕事からは解放されたのに、病状は一気に悪化し、
それはもう辛そうでした。

 その状態がやや落ち着いた頃、編曲作品をネットに投稿することを始めたのです。
それは自分が孤独でないことを確かめるための大きな役割を果たしました。
また、「音楽の活動をしている自分」を失なわないための大事な試みともなりました。

再生数に応じて奨励金も入る仕組みであることを知るや、在宅でこれを仕事にてきないか?という野望も抱き始めました。

再生数

 しかし、再生数は喜びも生めば、気落ちの材料にもなります。
「数に囚われると苦しいよ。」と助言をする私でしたが
そういう私も、実はそれが気になるわけで当時からずうっと、ほぼ毎日チェックをして記録しているのです。ポイントを投入しての広告にも協力してやるのです。
笑ってください。f:id:kyokoippoppo:20181206060326j:plain:w320:right

しかし、昨年あたりがら、動画の仕上がりが停滞してきました。
うつも、少しずつ良くなってはいるものの、なかなかさっぱりとは治りません。
若い頃、喜びでしかなかった音楽は、Hにとってそればかりのものではなくなっておりました。

実はニコニコ動画にアップするのが苦しくなっているのでは?
音楽を手放したくないという執着が、身の丈にあっておらず、この作業を避けたい、遠ざけたい作用が働いているのでは?
そんなことを問うこと数回。
そのだひにHは
「いや、楽しいんだよ。」
と必ず言う。
これを聞くたびに私は夏樹静子の
「書きたくて書きたくてたまらない。」
を思い出すのです。
「春夏秋冬一年に4曲出すくらいでいいじやない。」
と言ったときは、間髪いれずに
「やだよ!」
の反応でした。しかし、今年の実際の成果は結局このようなものでした。
先日の誕生日にアップした曲の動画は夏のイメージ。夏に出したかったものが、初冬にずれこんだのです。
やろうやろうと思っても、パソコンの電源をいれるのが苦痛でしかたなかったのだと。
「楽しきゃやるだろうが!」
と突っ込みたくなる声を留めて、
「まあ、無理するな。」
と言う私。

窃盗症?

先日「窃盗症」に関するショッキングな出来事がニュースになりました。
(アップ時貼り付けたリンクの期限が切れたため、削除しました)
 
 心と身体・・・・・書きたくて書きたくてたまらないのに椅子に座れなくなった身体。
頭はダメだダメだと思いながら、万引きをしてしまった身体。
大きな実績や栄誉を手にしてていても、それは人の生きやすさには直結しないのですね。
いや、大きなな実績や栄光と引き換えにしたからこそ、身体は音をあげ、反乱を起こしたのでしよう。

 「楽しいんだ」
と言いながらも、パソコンのスイッチを押せなかったHの場合はどうなんでしょうね?
中卒で、世の中に出た息子と音楽との関わりについてもポチポチと書いていくことにしましょう。

 泉谷氏のメッセージです。
身体症状には必ず心を読み解く手がかりが現れている、ということが書かれておりました。
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