鮭を取らせて!!・・・新聞切り抜き

新聞切り抜き第3弾!!

 先住民族に関連する新聞記事を貼って記事にすること3回目!!
大きな記事が2枚も!!分割して貼りましょう。

     2019年9月13日・・北海道新聞

自由なサケ漁を求めるアイヌの訴えに関する記事です。
しかも、これは隣の市で起きた出来事。

ここでは骨子のみを抜きだしましょう。
1878年・・・開拓使が支流でのサケ・マス漁を全面禁止にした。
川でのサケ・マス漁は日本法制度の整備以前にアイヌ民族が持っていた当然の権利である。
これを非人道的に奪ったのは和人たちである。またこの一方的な取り決めは鮭を主食としたきたアイヌにとって飢餓にも及ぶ死活問題であった。

1951年・・・・水産資源保護法制定~内水面(淡水域)でのサケ・マス捕獲禁止
1986年・・・道がアイヌ民族に伝統文化の伝承や儀式での特別採捕を認める。
許可を出す権限は知事が持つ。その都度捕獲日程や捕獲数などを記した書類を提出しなければならず使い勝手は悪い。
2007年・・・国連が先住民族の権利宣言を採択
2018年・・・国連人種差別撤廃委員会が日本政府にアイヌ民族の土地・自然資源への権利を保障するよう勧告

2019年5月・・・道は、アイヌ施策推進法に従いサケ規制に関して円滑な運用に努めると記す
手続きの実質的な簡便化にはほど遠いものであった。
2018年・・・紋別アイヌ協会の畠山会長が、特別採捕を申請せずに捕獲しようとしたが、当日警察によってはばまれた。
2019年・・・畠山エカシは問いかける・・「アイヌが主食である鮭を近くの川で捕るのに、なぜいちいち知事や総理大臣にうかがいをたてされるのか?」今回の採捕に向け、紋別アイヌ協会は何度も協議を重ねた。決着を見ないままXデイはおとずれた。

警察は動かず、現場で道職員が口頭で警告。協会は漁を完遂。捕ったサケは2匹。


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 9月16日・北海道新聞

道は、即日エカシらを紋別署に告発。


 このような強行的な行為に関しては、全てのアイヌの方達が賛同しているわけではありません。
そもそも「アイヌ民族」はこれまでの長きの間に、日本人の生活様式を取り入れ、同化してきました。
今や鮭を「主食」として食べている実態はないかと思われます。
ですから食生活における切実感は薄いはずです。
鮭に対する特別な思いは、伝統的な儀式の中に残るのみといえるでしょう。
そして伝統的な行為に対する思い入れも、人それぞれに違いがあることでしょう。

しかし、「鮭」がアイヌの人たちにとっては、神聖な神様からの贈り物であり、儀式の大切な供物であることは間違いありません。

華々しいウポポイ建立の陰に・・

 前回の記事のように、道は「ウポポイ』なる施設を作り、先住民族のとの共生を謳っております。
多くのお金を使い、観光の新たな拠点とするべく宣伝をしております。
しかし、鮭の捕獲に対するアイヌエカシの思いに対しては、十分な理解と歩みよりの姿勢を示してはおりません。
賛否はありつつも、エカシの行為は、このような道の姿勢、また北海道という土地に住む私たちに貴重な一石を投じてくれたと感じます。

北海道さけます増殖事業協会

 私が北海道に来て初めて就いた仕事は、さけます増殖事業協会の支部の事務でした。
オホーツク海沿岸北部の川の、さけますの捕獲数の記録や、湧別の捕獲場の会計報告などが主な仕事ですが、実質電話番。
ヒマを持て余すようなお仕事でした。
河原に建つ番屋に出向きご飯したくを手伝ったり、採卵の手伝いをしたりもいたしました。
サケ・マスの捕獲は、ウライという施設を使って行われます。
川を溯上するサケの、川上へ川上へと向かう習性を利用してサケを一ヶ所に誘いこむのです。
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(写真は北海道さけます内水水産試験場のページより)
それを捕まえ、別の河川敷にある養魚池へと運び、放します。
そこでお腹の卵が熟成するのを待つのです。
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(写真は阿賀野川えーとこだ流域通信のページより・・・道内の河川ではありません。)

殴って半殺し

 採卵の日には胴長をはいた作業員たちが養魚池に入り、網でサケを集めメスの腹をしごきます。
魚卵の成熟具合を確かめるのです。
バラになったイクラがパラパラと落ちてきたら成熟のサイン。
するとその鮭の尾を掴み、その頭を、
手に持つ棍棒でなぐりつけます。

失神したサケはベルトコンベアに乗って作業台にやってきます。
一人が背びれを押さえ、もう一人が頭を固定します。
そして背びれ側の人がナイフ(マキリ)でさっと腹を裂くのです。
手際よく卵が掻き出され、そこにすぐにオスの腹から絞り出された精子(白子)をかけ、混ぜ合わせます。
腹を切られたサケと精子を絞り出されたサケはもう用無し。
ベルトコンベアにのって外に横付けされているトラックの荷台に運ばれていきます。
このサケは”採卵かす”と呼ばれ加工業者の手に渡ります。(お茶漬けの素の材料になるというようなことを聞きました。)
マスの採卵も同様です。

新鮮な生きている卵を取るために魚は生かしておかねければなりませんが、活きが良すぎれば思うような作業ができません。
中には作業台の上で飛び跳ねる元気な個体もあるのです。
私の役目は頭持ち。

ニュルニュルの眼球の中に親指を深く突っ込んで、しっかりと頭を押さえなければなりません。
腹が裂かれる瞬間、サケは動かぬ体をめいっぱいのけぞれせ、その圧力は私の体にも伝わります。
次から次へとやってくる魚たち。
腹を裂かれてトラックの荷台に運ばれた魚たちは、切なそうにエラをいっぱいに開き、必要な酸素を求めて喘ぎます。
「あああ!!!かわいそうに!!!」
資源のための事業。
けっしてサケのためではない。

 ウライを使う漁法は、アイヌの人たちが魚をとるためにあみだした方法のようです。
しかしそのように魚を捕るにしてもも、アイヌは決して一網打尽にとるわけではありません。
必要な分だけを捕り、その魚は神からの贈り物として余すことなくいただき、利用することで感謝の意を表すのです。

今サケが自然に溯上できる河川はどれだけあるのでしょう。

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 鮭はボロボロになりながらも、自然の川を自分の力で昇ってゆきたいでしょうね。
美味しい鮭をいただく身として、増殖事業そのものを真っ向否定することはできません。

ただ、先住民族との共生、尊重の掛け声のもといったい何が大事にされるのか?
何を推進していくのか?
観光や経済にばかり光が当たりがちな現実に目を向けていきたいものです。