ティールに向けてのぶらぶら旅 ④

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 桜の葉が散ること散ること・・・集めても集めても落ちてきます。
木が裸ん坊になるまで休むことなく落ちて、歩道に散らばる葉っぱたちです。






疑問は置いといて・・・

 さて、旅の続き。
今日の私は少々気忙しい。
疑問を携えて切り株に腰を下ろしておりましたが、「やっ!!」と立ち上がりましたよ。

まずは復習です。

 ティール組織という概念は、2014年にフレデリック・ラルーの著書「Reinventing Organizations」で紹介されました。
旧来型組織とは一線を画する組織のあり方として提示されたもので、それにより組織や人材に革新的変化を起こすことが期待されています。
組織内の階層的な上下関係やルール、定期的なミーティング、売上目標や予算などといった、当たり前のように行われている組織構造や慣例を撤廃し、意思決定に関する権限や責任を管理職から個々の従業員に譲渡するなどのあり方です。

 この変容は、企業組織のみに留まらず、教育のあり方も変化を遂げてゆくという考えのもと、天外伺朗氏が著した本が『ティール時代の子育ての秘密』です。
この本の前書き部分で氏は、

その変化は今までの常識を覆すものであり、180度方向性が変わる・・と述べています。

何故いきなり180度も変わってしまうのか??
真反対の路線に進むとはどういうことか??
疑問を持ち、足を留めたのでした。
それが前回までの記事。

その疑問を抱えたままに、立ち上がった私・・。
そして見やった先は自身の過去ブログでした。

そもそも、何故天外氏がティール組織と教育をつなげて捉えたのか??
をしっかりとつかんでおきたいと思ったのです。

 私がこのブログを立ち上げたばかりの頃・・・ブログというものには何か意味のあるものを書かなければならないという思いが強くありまして・・・・・
『子どもやがて悲しき50年』という太郎次郎社から出ている写真集を手引き書にして日本の教育史についてポチラポチラと綴っていたのです。

テーラーシステム

 そこで知ったのが「テーラーシステム」という言葉です。

kyokoippoppo.hatenablog.com

これは「労働管理」のあり方に名付けられた名称です。

テーラー・システムは日本語では、「科学的管理法」と呼ばれます。
アメリカ人技師フレデリックテーラーが20世紀初頭に提唱し、その後発展してきた労働管理の方法です。

管理についての客観的な基準を設けることによって労使間の不信を取り除き、協調体制を構築し、相互の共存共栄を目指すことができると考えれたのです。
大まかなあり方としては、確かな計算によるノルマを設定し、成功に対して報酬を与え、不成功に対しては減収で応じるというものです。
これは産業の近代化の基礎となりました。

 
 Wikipediaより。極々要点のみ。
組織の色でいえば実力主義オレンジかしら??
    *   *   *   *   *
 

 1911年に提唱された労働管理としてのテーラー・システムが、その後教育界に大きく影響することとなります。

スティーブ・ジョブズに引き抜かれ、アップルの教育部門の初代バイス・プレジデントを務めるジョン・カウチ氏の提言より、テイラー・システムについて言及されている部分をコピー貼り付けいたしました。
ティー」という言葉こそ出てきませんが、この中にこの旅に関わる大きなヒントが含まれていましたよ!
1919年5月のものです。

toyokeizai.net

衝撃なのが、テイラーの著作が出版されたわずか1年後の1912年に登場した論文だ。これが教育のパラダイム転換を起こすことになる。
それは学校を主体とする教育の目的を見直すもので、これからは子どもたちに将来に向けた準備をさせるのではなく、当時必要とされていた類いの労働力となるための準備を目的とすべきだとはっきりと説いているのだ。

「われわれは、スキルの低い労働者やその子どもたちを、哲学者や研究者、科学者にしようとしてはならない。彼らのなかから、作家、演説家、詩人、文筆家を排出してはならない。偉大な芸術家、画家、音楽家、法律家、医師、牧師、政治家、指導者の卵を見いだすこともしてはならない。
われわれがわれわれ自身に課す職務は、非常に単純かつすばらしいものである。子どもたちの小さなコミュニティーを組織して、子どもたちの父親や母親が不完全にしかできていないことを完璧に行うことを教えるのだ」

この論文を発行したのは、GEB(一般教育委員会)を自称する団体。この団体を創設し資金を援助したのは、ほかでもないロックフェラー自身だ。
このようなテイラーの考えに賛同する人々は「テイラリスト」と呼ばれ、彼らは熱心に、正規の学校教育の目的は「平均的な生徒を標準とする教育の提供」であるべきだと主張した。
こうした流れの中で、産業革命の後期に入ったアメリカで学校教育の目的が見直されることとなり、いまなお続く教育システム全体の標準化に焦点が集まるようになったのだ。
今やアメリカだけでなく、日本でもまさに同じ問題を抱えていることは言うまでもないだろう

学校と工場

f:id:kyokoippoppo:20210923191736j:plain:w100:left 次の貼り付け記事は、3年前『企業教育・学校教育』の記事を書いた際に見つけたものです。
佐藤学氏の名前にもビビッと惹かれて目をとめました。
テーラーシステムと教育との強いつながりについて知ることができました。
(画像は佐藤氏。彼の公式ホームページより)

佐藤学氏の本『教育の方法』を読んだ方の感想より、佐藤氏の記述引用部分のみをコピーしました。
https://makoto.ti-da.net/e2904654.html

近代的な労働管理の方法である「テーラー・システム」は直接的に学校の経営と授業展開に影響を及ぼしています。シカゴ大学でカリキュラム研究の科学化を推進したボビットは、テーラーの『科学的経営の原理』(1911年)をそっくり援用して、カリキュラムと授業と学びの過程を科学的に統制する方法を提唱しています。
ボビットはテーラの「生産目標」を「教育目標」に置き換え、アセンプリ・ラインの最後の「品質管理」の「テスト」を教育過程最後の「テスト」に置き換えています。
実際ボビットは学校は「工場」であり、校長は「工場長」であり、教師は「作業員」であり、子どもは「原料」であり、卒業生は「製品」であると言っています。学校を「大工場」と重ねる私たちのイメージは歴史的に根拠のあるものなのです。

改行はkyokoによる。

911年・・・今から100年も前に提唱された「テーラシステム」

このシステムはもう自覚出来ないほどに、現在の教育の中に浸透し、いまだ効力を保っていると考えられます。

企業と教育・・・二つは切り離されることの無い密接な関係で結ばれているのですね。

そして今、教育に先んじて企業の中に変革が訪れているのなら、
教育がその影響を受けないということはありません。

 企業組織に訪れている変容が、教育界にもいずれ波紋を及ぼすであろうことは納得できます。

しかし、その波紋が、長きに渡り教育と一体化し、教育界に浸透したテーラーシステムの影響を覆すほどの力をただちに持つか??
と問えばこれはやはり考えにくいですね。

学校教育あり方が、ティールに向かうのはそうそう容易くはないでしょう。

ならばまずは、家庭教育において、まずは親子の関係において・・・「ティール」に向けての教育を意識しよう!!
天外氏の発信はそこに向けられたのではないでしょうか??
そのための指南書として世に出したものが、『ティール時代の子育ての秘密』なのだろうと思うのです。

今日の旅はここまで。