泉谷閑示氏のメッセージ・・・・これって逃げでしょうか?

逃げることは悪いのか?

 うつに関する情報を検索していて目に留まったのが泉谷閑示氏のメッセージでした。
今回は、その中から逃げることを話題にしたいと思います。

 精神科のクリニックを開業しておられる泉谷氏はうつで思うように働けなくなったり、動けなくなった患者さんから、
「これって逃げなんででしょうか?」
と問われることがあるそうです。
患者さんは、自分の、どうにもやる気が起きず、動けなくなった状況がもどかしく、情けなく不可解でこのようなことを聞いてみたくなるのでしょう。
自分の弱さに起因しているのか?心の持ちようでこの難局を乗り越えられるのか?と問いたいのでしょう。
泉谷氏はそれに対する返答として、
「それは逃げですね。」と答えることも、
逆に
「それは逃げなどてはありませんよ。」
と答えることも相応しくないと述べています。
何故なら、この答えからは
「逃げることは悪いこと」
というニュアンスが伝わるからです。
人は危機に際して逃げるのが当然であり、「逃げることは悪いこと」という前提そのものを打破していかなければならないというのが泉谷氏の主張です。

まず、この問いかけにおいては、「逃げ」
という言葉にあらかじめネガティブな意味が込められています。これをそのままにして返答するのでは、それがYesであってもNoであっても、「逃げ」=「悪いこと」の価値観が温存されたままになってしまいます。
この問答では、たとえ「逃げではない」という話に落ち着いたとしても、いずれ別の問題に突きあたったときに、再び「この決断は逃げてばはないだろうか?」と、同じ問いを発しなければならなくなってしまいます。そこで必要なのは、この「逃げ」という言葉に付着したネガティブな意味をひきはがしてしまうことなのです。

逃げられない

 私が、「逃げ」のワードから思うのは、電通社員であった高橋まつりさんの過労死自殺の報道です。
「何で逃げなかったのだろう。」
とっさに浮かんだ疑問です。
彼女は独身で養う家族があったわけではない。
仕事を失えば即すみかを無くすというような状況でもなかったはずです。
蓄えもそれなりにあったことでしょう。
電通をやめて、一休みして、出直すことは十分に可能だったのに・・・・。
それをしなかった、できなかったのは何故なのでしょうか?

理路を整えて考えることができないほど疲弊しており、もうスイッチを切ることし考えられなかったのかもしれません。
電通』という組織に退職願いを出す行為そのものが恐ろしく、すくんでしまったのかもしれません。
仕事を投げ出すことに対する罪悪感が強く、それを自らの意志で選択することが不可能だったのかもしれません。
とにかくまつりさんは心身とも捕らわれており、「檻の外」を想像することもできなかったのでしょう。

 逃げた先にも道は続き、生きやすい場所にたどり着けたかもしれないのに、まつりさんは逃げることがてきませんでした。

 もちろん泉谷氏は、逃げることだけが良いことであり、逃げないことを否定しているわけではありません。

必要があれば逃げろ!ということです。
そして、逃げるべき場面でそれを選びとるためには
日頃から逃げることをノーマルに捉えていなければならないと伝えているのです。

「逃げるのは悪いこと」という精神教育に染まりすぎることを危惧しているのです。
私たち日本人は特に、この「逃げてはならぬ」という教訓に馴染んでおり、それを疑わずに生きています。
「逃げなかった」というエピソードはしばしば賞賛の対象になるのです。

『探さないでください』…逃げたさきの風景

『探さないでください』
というコミックがあります。


以前ブログでも紹介しております。
kyokoippoppo.hatenablog.com


作者中川学氏の実体験~職場からの逃亡記です。

探さないでください

探さないでください

中川氏は中学生時代には、はや困難回避型のクセがでていたようです。辛い部活(陸上部)をやめたくて厳しい顧問にドキドキしながらお願いに行く場面があります。

あのー今まで陸上部で活動してきましたが自分はどうも個人競技よりも団体競技の方が向いているのてはないかと思い・・・・

顧問が嫌だという本音も、練習がきついの本音も隠しての学君の弁です。

まだ始めて2ヶ月だろ 向いているかどうか判断するのは早過ぎないか?
それに君が希望していた短距離な種目の中には400メートルリレーがある
あれは団体競技だぞ

学君激しく動揺・・・・嘘はかえって不利だととっさに判断。

あの先生ボクうそをついていました
転部したい本当の理由は陸上部の練習に体力的についていけないからなんです

それで野球部に?
はいっ!!
野球部の練習にはついていけるって?
陸上部より楽だって誰か言ってたか?
辛くなったらまた辞めるんじゃないのか
やめることは簡単だ「辞めます」って言えばそれで終わりだから
難しいのは続けることだ
はい、でも・・・・
一度困難から逃げた人間は

一度困難から逃げた人間は・・
ページをめくると大きなこの画面!!うわあ!
f:id:kyokoippoppo:20181212184704j:plain:w320:left

 そしてこの先生の予言通り、学氏は、後に職場から失踪するという失態をやらかします。
この一件の後も、学氏をさまざまな困難が襲い、彼はなんとも無様です。
しかし、最終的にこのような体験を彼は「作品」という果実に育て上げました。

 
 等身大の自分を知り、嘘のない生き方をすることは何も怖れなくてよい生き方といえましょう。


この作品・・・・何とも切ない体験談てありながらもユーモラスで、とても面白かったです。 
尻切れトンボのような記事かしら?最後に泉谷閑示氏のページを貼っておきましょう。
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