異世界へのいざない・・④ 別れ

 鑑賞したDVD、『思い出のマーニー』。
触発されて思い出した『異人たちとの夏』・・DVDを手に入れてこちらも鑑賞いたしました。
そして、それぞれの原作。
それらをまぜこぜにして綴っております。
まずは『思い出のマーニー』の原作から・・。もちろん映画作品とも大いに重なります。

裏の船着き場

 しめっ地に潮が満ちるとき、アンナとマーニーは会うことができます。
水は、お屋敷の裏の船着き場と岸辺をつなぐ通路です。
と共に、霊界へと入っていく通路にもなっているのです。

そこでアンナは、不思議な少女「マーニー」と出会います。
楽しい時間が交されます。
そして・・・
上巻も終わりの部分で、物語は転換点を迎えます。

 マーニーは海が好きなのかと思い込んでいたアンナですが、マーニーは本当は花咲くお庭に憧れていたのです。
でもこのお屋敷のお庭は単なる車回しだし、おまけに怖い番犬プルートがいる・・・マーニーはそう言い、アンナはびっくりします。
やしきに「表」があることを初めて知る場面です。

「船着き場を見晴らせる方が表なんじゃないの?」
「表?どうしてあっちが表なのよ、おばかさん。もしそうだったら、潮の満ちている時、どうやって、みんな、家へ来られたと思うの?」

マーニーは言います。
おばかさんと・・・・。
お屋敷のパーティーに来る人たちが、小さなボートに乗って来るとでも思ったの??と・・。

杏菜はお屋敷に表があることなど考えたこともなかったのです。
村の大通りを思い浮かべます。
背の高いレンガ塀。
高い鉄の門。
ーすごく違うー
アンナはつぶやきます。

お屋敷に表があることが明かされたことで、物語は方向を変え始めます。
マーニーとアンナの別れの序章が始まるのです。

別れ1

 「表」の存在をアンナが知ったことで、閉じられていた「裏」の世界に穴が開いた
ように感じます。
二人の世界に、”マーニーの過去”が混ざり始めます。
天気も変わりはじめます。
雷の鳴る風車小屋(映画ではサイロ)に閉じ込めらたマーニーを迎えにきたのはエドワードで、マーニーの目にアンナは映らなかったのでした。


置いてきぼりになったアンナは、
マーニーの裏切りが許せませんでした。
ひどいひどすぎる。ゆるせない!!
雨の中、泣きながら走り、つまずき、転び・・
気がついたときはベッドの中でした。

アンナはマーニーに復讐する思いでいっぱいになりながら、病後の体を起こして痛む足をひきずり、水辺へ立ちます。

下記に連動する映画場面を貼ってみました。(映画では雨を降らせておりませんが・・)
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私の姿を見ろ!!
あなたは私を忘れてはいけない!!
でも私は、もうあなたに目もくれやしない。
私は許さない!!
そんな決意でアンナは水辺に立ったのです。
マーニーは窓辺にいました。
アンナは目をやらずにはいられませんでした。
青いワンピースを着て体を窓ガラスに押しつけるようにして立っているマーニー。
窓をばたばたたたいてめちゃくちゃなやり方で叫んでいました。
「アンナ!だいすきなアンナ!」
「ねえ、アンナおねがい!ゆるしてくれるって、いって!」

 マーニーの言葉は、ほとんど、風にとばされてしまいました。窓の外を川になって流れ落ちる雨で、マーニーの顔もほとんど見えなくなっていました。
でも、アンナにはきこえました。わかりました。まるで、その言葉は、アンナ自身の中からきこえてくるようでした。

「もちろんよ!もちろん、ゆるしてあげる!あなたがすきよ、マーニー。けっして、あなたを忘れないわ。永久に、忘れないわ!」

潮が満ちてきます。

マーニーの顔は、目をくらませるはげしい雨のむこうに、もう完全に消えていました。

水がしめっ地を覆ってゆきます。
アンナは渦巻く水に流されます。
アンナを霊界へと運んだ水は、今度は勢いよくアンナを現実へと押し戻すのです。

ふと顔を上げたアンナの目に、やしきはやっぱりからっぽに見えました。じっとこちらを見つめているような、からっぽの、どの窓のうしろにも、だれもいないようでした。やしきは、もう長い間、ずっと空き家だった ─ ように見えました。

アンナを霊界に招いたのもマーニーなら
現実に戻るように導いたのも、アンナを大事に思うマーニーだったように思えます。
アンナは、お屋敷の表の世界へやって来て、現実世界の友を得ます。
そして、おばさんとの和解を経て、マーニーが誰であったかを知るのです。

別れ2

 激しい雨の後ろに消えていったマーニー。
そしてこちらは、
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異人たちとの夏』の別れの場面です。

とどめようもなく父の肩も消え、母の顔も薄くなって行く。見逃すまいとした。父が消えていく。
「ありがとう。どうも、ありがとう。ありがとうございました」
声はおさえていた。この瞬間を誰かに邪魔されたくないという気持が無意識に働いていた。

主人公「英雄」が、とっくの昔に亡くなった父母と会うことで、どんどんやつれ精気を失ってゆく、その様子を案じる恋人ケイは、父母と会うことをやめるよう必死に懇願します。
英雄は、愛する”異人たち”にお別れをいうため、両親の家を訪れます。
最後の日に、三人ですき焼きを食べに行こうということになり、出かけていくのです。

 英雄は、異界の人と別れ、現実世界の恋人の元へと戻っていった・・・・と思いきやの展開は、ストーリーをご存知ない方のためにふせておくことにいたしましょう。

ケイとの別れの場面は、原作と映画では違うえがかれ方をしており、英雄の精気を奪い取ったのは、父母ではなかったのかもしれない・・・
そんな風に思った私です。

田原町で地下鉄をおり、国際通りを歩きはじめると、もう夏が終ってしまったことを改めて感じ、淋しかった。排気ガスのたちこめた歩道でも秋の気配はあった。すれちがう人々も、酷暑の頃とは、あしどりもちがっていた。夏と共に、父も母もケイも行ってしまった。

夏の終わり・・・英雄はようやく生身の人間が暮らす現実世界へと戻されたのでした。



思い出のマーニー
異人たちとの夏
どちらも大好きな作品です。

4回の連載になった、『異世界からのいざない』・・これで終わりにいたしましょう。
お付き合いありがとうございました。