えんの松原

縁あって・・

 
 時は九百年代。
藤原氏が揺るぎない地位を築いた時代を背景にしている物語。

  * * *
ほとんど時代ものに手を伸ばさない私が今読んでいるのは『えんの松原』。
すぐれた児童文学を紹介して下さるMatushinoさんが、記事の中で‘’隠れた名著‘’として、この作品のタイトルをあげていたのです。

えんの松原 (福音館文庫 物語)

えんの松原 (福音館文庫 物語)

  • 作者:伊藤 遊
  • 発売日: 2014/01/10
  • メディア: 単行本
jidobungaku.hatenablog.com


実は、彼女がこの記事で紹介している『祈祷師の娘』は、私がMatushinoさんに紹介した一冊なのです。

本の好みは人それぞれですし、出会うタイミングも、その人なりの必然や偶然の中から生まれるように思いますので、むやみに自分の愛読書を薦めることはしないようにしています。

しかし、Matushinoさんが、中脇初枝氏の『きみはいい子』を紹介されていたので、親近感を抱いてしまい、
私の好きな『祈祷師の娘』のことをコメントに残したのでした。
彼女はすぐに読んで、記事を残して下さいました。


『祈祷師の娘』は、霊と対峙する力を持つ家族の中で育つ少女の話です。
わけあって彼女だけがその血縁の外側にいるのです。
血縁とか、家族テーマになっておりますが、当然”お祓い”という現場も描かれております。

こういう世界、苦手な私でしたが、伊藤遊さんの『えんの松原』(←隠れた名作!)読んだときに、こういう怨霊が忘れられた世界のほうがこわい、のようなことが書かれていて、ハッとしたんですよね。

Matushinoさんの記事のこの文章に今度は私が引き寄せられました。
本を仲立ちにしてつながる・・・・とても素敵です。

えんの松原

 さっそく図書館を尋ねたら、司書さんはタイトルを聞くや、
「ああああ、いい作品ですよ。」
と声をあげ、すぐに書棚の前へ行き、引き抜いて下さいました。


こちらの「えん」はどんな「えん」?
 

 『祈祷師の娘』は現代を舞台にしておりますが、こちらは平安時代が舞台になっております。
そして、霊的なもの(この世のものでない存在)が登場します。

その時代、女性は帝の妻となり、お世継ぎを産む。
生まれる子どもは男子でなければならない。

権力を手に入れるために「おんな」「子ども」が当たり前に利用されていたのです。

華やかで秩序に守られているように見える宮中には、実は企みや、妬み、裏切りなどの薄黒い陰がうごめいているのです。


伴内侍(ばんのないし)が、怨霊のはびこるわけについて語る場面があります。

限られた幸が、片寄りすぎているということなのだろう。
だれかが栄華をきわめれば、その陰にたくさんの嘆きが生まれるものだ。
その嘆きを忘れた結果だろう。いや、忘れてはならぬといういましめのために、怨霊は現れるのかもしれない。
秋になれば木にはたくさんの実がなるが、みなで取りあうとなれば多い数ではない。
それをすべて己が腹へおさめ、吐き出す種すらも自分の領地の内というのでは、恨みも買おうというものさ。
烏ですら、まだ熟れぬ実くらい残すたろうに、人は一度にぎったものをなかなか手放せぬものらしい」

(改行はkyokoによる)
あらあら、今の世の中も同じだわ!
コロナウイルスは「人間」だけが、快適、便利を貪り食ったために生まれた怨霊なのかもしれません。
「アマビエ」さん頼みでは太刀打ちできません。


さて、少年音羽は、いよいよ姿を現した怨霊とどのように向き合うのか?

おもしろいおもしろい!

おもしろいだけではない。
描写がとても良いの。

楽しめる本が手元にあれば、いくらでもおうちにいられるわ
さて、お布団に入って続きを読みます。