おお!バフンケ!‥新聞切り抜き

なかなか読み終わらない

 寝室に置いて、寝る前にちょびちょび読み進めている本があります。

決して読みにくい本ではないのですが、
さくさくとは読み進まず。

いつまでも寝床にあるこの本を取りあげては、少しずつ進行する物語に添う日々です。

途中で、読むのを止めてしまおうかな?と思ったこともありましたが、いやいやもう少し、と思い直して手に取って・・・。

というわけで、この物語は点滴の薬のように私の中にゆっくりと浸透していったのです。
物語のあらすじはアマゾンさんからお借りしましょう。

内容紹介

樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘コレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。
日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。
文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。

樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、
国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。
金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、
読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。

内容(「BOOK」データベースより)

故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太アイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説

「おお!!バフンケ!!」

 先日のことです。

 今までの未整理の紙類を整理し、ファイリングしようと、広げたところ・・・
思わず声をあげてしまいました。
「おお!バフンケ」
まさしく今読んでいる本に登場するアイヌの首長の名前が、目に入ったのです。

それはハサミも使わず指でちぎり取った小さな新聞記事でした。
(貼り付けに際し、ハサミでチョキチョキ)


日付は2018年7月。
一年以上前に切り抜いたものがパラリと出てきたのです。
記事の内容は、昭和初期に樺太(サハリン)に住んでいたアイヌ首長の遺骨が、彼の孫にあたる木村和保氏の要請に応じる形で返還されるというもの。


私が驚いたのは、このタイミングで出てきたということです。
バフンケ知ってるよ!
ピウスツキ知ってるよ。
チュフサンマ・・はいはい知っています。


私は愉快になってしまいました。



昨年の夏
私がこれを切り抜いたのには、とりたてて深い訳があったわけではありません。
アイヌの問題にだってことさら強い関心をよせているわけではありません。
たまたま、切り抜いて雑多な紙に混ざっていただけの一枚です。
それが、絶妙なタイミングで出てきたのです。
物語を、読んでいなければ
丸めて捨ててしまったかもしれない一枚。

バフンケ」の文字列に、「あっ」と声を挙げ、親近感を伴い手元に寄せたのは、『熱源』の世界が私の中にあったからです。

さほど夢中になって読んだわけでもない『熱源』ですが、確実に私のどこかに磁場を作ったようです。
『熱源』は史実をもとにしてかかれたフィクションですが、「史実」という柱が太く、力強く立っているので、まるで歴史の中を旅するようです。


www.shosetsu-maru.com
こちらの記事より一部抜粋いたします。

 九州にルーツを持ち大阪で生まれ育った著者が、北海道の先住民族たちの物語を書くことになったきっかけは、夫婦旅行だった。妻のリクエストで二〇一五年夏に北海道へと足を運んだところ、知られざる歴史と出合った。
「たまたま室蘭から足を延ばして、白老町アイヌ民族博物館へ立ち寄ったんです。そこに、ブロニスワフ・ピウスツキという人物の銅像があったんですよ。説明書きには、一九世紀末から二〇世紀前半にかけて活躍したポーランド人の民族学者で、アイヌを研究していたと記されていました。彼はわざわざ地球を約半周してきて、北海道の少数民族研究の先駆者になった。その歴史的事実に不思議さというか違和感を覚え、ピウスツキについて調べ始めたんです。その過程で樺太出身のアイヌ、いわゆる〝樺太アイヌ〟であり、日本初の南極探検隊に参加した山辺安之助という人物の存在を知りました。ピウスツキと山辺安之助が出会い、二つの人生が交差したポイントを軸に、物語を生み出せないだろうかという構想が生まれたんです」

著者である川越氏が、たまたま足を延ばして立ち寄った先で出会った銅像がこの物語を生み、それは今、たまたま図書館で目に触れ手に取った私の手元にあります。
そして、たまたま切り抜いていあった一年前の新聞記事が目の前に現れ、私に強く作用しました。

広がりつながる世界に興奮!!

バフンケとピウスツキ
バフンケと木村和保氏
ヤヨマネクフ・シシラトカと南極探検隊

アイヌの人々と金田一京助
北海道とポーランド

そしてポーランドといえば・・・・コルチャック先生
kyokoippoppo.hatenablog.com

何だか、一枚の新聞記事によって一気に新しい世界が広がったようです。
興味がそこへと注がれております。

おりに触れ書いていく話題になるかもしれません。

これについて書いていらっしゃるはてなブロガーさんがいらっしゃったので貼らせていただきました。
私の過去ブログより下に貼ってしまって申し訳ないのですが、文脈上こうなってしまいました。
ご容赦を!!
sophist.hatenablog.com