助っ人バイト
「人手が足りないの。助けてえ。」
と頼まれてバイトしてきました。
「ポンプがけ」という仕事です。
以前話題にした「放流作業」の後始末です。
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一部不快な表現がありますので、爽やかな気分を求めていらっしゃる方はスルーして下さいね。
この町の主要産業である漁業ですが、ほとんどホタテ貝が支えていると言っても過言ではありません。
全ての組合員が、ホタテ貝の育成に従事します。
サロマ湖内で、ある程度の大きさまで育て、それを外海へ撒くのです。
放流の期間は、毎日ホタテ稚貝が入った筒状の網(資材)が引き揚げられます。
そして空になった資材は日々たまってゆきます。
個人で洗浄機を持つ漁師さん(サロマ湖での養殖を営む漁師さん)は、その日のうちに洗ってゆくことか可能ですが、それを持たない前浜の組合員さんは共同の洗浄機を使います。
限られた数ですので、使う順番はくじ引きで決められるそうです。
その間資材は庭先に置き去りです。(件の場合は、一ヶ月放置されたことが日付からわかります。)
するとどうなるか?ハエが寄り、ウジが湧き、サナギとなり羽化します。
この写真は洗浄機がある漁協敷地内で撮ったものです。晴天続きで乾燥していたため、生きている蛆虫は見当たりませんでした。
天日を浴びていいだけ乾いた資材の表面です。
これに高圧の水を当てて、汚れを落とします。
「ポンプがけ」と呼ばれる作業です。
これが洗浄機です。あちら側から汚れた資材を入れます。暖簾状の厚いビニルから出てくる時には、きれいになっています。
ポジション
この機械を2台並べて表と裏を洗うのですが、その間に立ち、資材をひっくり返して送るのが私の任務でした。
フォークリフトで、モッコ網に入った資材を運ぶ人・・モッコを動かすと、陽炎が立つかのごとくコバエが舞い上がります。口を開けていたら入ってきます。
その資材を機械に送り込む2人・・・貼り付いた資材を広げ、残っている稚貝を落としてから機械に入れてゆきます。
資材をひっくり返し次の機械は送り込む2人(私のポジション)・・・ここが一番単純な作業といえるでしょう。もちろん次の受け手の労力を省くために、この段階で残っている貝を落として送るなどができれば”より良い仕事人”です。
が、それができない・・。無理にやろうとすると機械のリズムとズレが生じ、次の資材を落としてしまったり、機械のゲートに入り損ねたりたりしてしまいます。
うまく流れず機械を逆送りさせること数回・・・アワアワ!!
チャップリンの映画「モダンタイムス」のようです。
きれいになった資材を受けて、きれいなモッコ網に並べてゆく2人。
騒音と汚水
がががががががががががが
耳の中は機械音だけになります。
長靴の下を、汚水がジャアジャアと流れてゆきます。
死んだ蛆虫・・無数の黒いつぶつぶは蛹たち。
それらが汚水と共に流れてゆきます。
広い床には茶色い川ができ、汚泥が溜まったところは州となります。
汚水、汚泥、貝殻は傾斜に沿って流れ中央の溝にある程度は入ってゆきますが、あちこちに汚泥が溜まり、せき止められるのです。
最後は水を流し、プラスチック箒やシャベルでかき集めて投入します。
(写真は作業前に撮りました。少々ボケました。作業中のリアルな写真も撮りたかったのですが、そんな余裕も、厚かましさも持ち合わせておりませんでした。)
汚水はそこから貯水槽に流れてゆきます。
そこで稼働しているのが、この装置。
細かい目の櫛が一定の間隔でついていいるすだれ状のレールが、ゆっくり回っております。
すくったゴミはベルトに落ち昇ってゆきます。(これも作業前のきれいなベルト。)
そして外へ・・・。台車に落ちたゴミが、いっぱいになったら処分場へと運ばれます。
夏に備えて
朝7時からの作業で終了したのは13時でした。ワタクシへろへろになりました。
きれいになった資材です。
これからはしばらく口を縫い合わせる作業に明け暮れ、夏には来年の放流のために再び稚貝を入れ、湖に沈るのです。
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6月21日の追記
この記事を公開の数日後(6月18日)
北海道新聞、地域の話題の紙面「手仕事オホーツク」でこのような記事が載りました。
場所は網走、こちらは養殖用の稚貝を放流ではなく、出荷しているのですね。
ザブトンというかごの開口部縫い合わせているところです。
後ろに控えるかごの量に注目あれ!!