うのうとうちゅう…①

 平仮名だけのタイトルを見て、これが「右脳と宇宙」だととっさに読み取った方はいらっしゃいますか?
???のワンクッションを挟んでみようと思いついて、タイトルをこのようにいたしました。

 さてさて、夫、義母、義妹たちと温泉一泊の小さな旅に出かけたのは先週のこと。
私にとっては大変珍しい貴重なイベントでしたのに、写真もろくに残さず、記事にもしませんでした。

 で、本日の話題は、読書の記録です。

ランラン図書館

先週手持ちの本を入れ替えるために隣の地区の図書館を訪れました。

返却した本は、『喫茶おじさん』他。

借りてきた本はこちら。
以前藤野千夜氏による『じい散歩』を読んでおり、他の作品も読んでみたくなったのです。

『喫茶おじさん』も、『じい散歩』も読みやすく、寄り添いやすいストーリーでした。
ままならないことに見舞われる日常にありながら、主人公はひょいとそこから抜け出して、喫茶店巡りをしたり、界隈を散歩したり…。それを読む私の心もホッと解けるのでした。


心の緩むフィクションものを書棚から選びつつも、私は毎度スピリチュアル系の本が並ぶ書棚にも立ち寄るのです。
そこで見つけた一冊がこちら・・・『奇跡の脳』です。

これは脳についての本でした。
スピリチュアルの範疇には入らないのかもしれません。
科学的な内容なのかもしれません。
そう思いつつも引き抜いて、自宅に持ち帰ったのでした。

本文は次のように始まっています。

わたしの名はジル。きびしい訓練を受け、広く世に認められた神経解剖学者でした。

彼女の1歳半年上のお兄さんは、31歳のとき統合失調症と診断されています。
しかし、彼の病は幼少期より兆しており、そんな兄との暮らしの中でジルは人間の脳に興味を持つようになります。
その道は彼女を有能な神経学者へと導いたのでした。

 ところがある朝、思いもよらない激震が彼女を襲います。

左目の奥から脳を突き刺すような激しい痛みを感じ…

急速に何かから切り離されたような感覚に襲われました。

私に何が起きてるの?
そこに焦点を当て集中ようとするも、「考え」はどんどん逃げてゆくのでした。

と共に、込み上げてくる平和の感覚に満たされて、そこに心地よく取り込まれていきます。

そんな状態ではありましたが、明晰な時間が周期的に訪れましたので、彼女はそこを頼りに、自分が脳卒中を起こしたこと、一刻も早く医療機関へ助けを求めなければならないことをつかみました。
が、明晰が遠のくと彼女の「考え」も遠のきます。
自分の身体の境界線までが不明瞭になってゆくのです。

とにかく電話を…
ようやく、ダイヤル回すことができた彼女。
運良く受話器を取り上げた同僚で友人でもある人の声を、彼女は識別したものの

わたしの頭は、その言葉の意味を解読できなかったのです。

そして助けを求めた彼女の声は、うめき声でしかなかったのです。


神経解剖学者ジルは、その朝、脳卒中により倒れてしまったのでした。
言語や計算力、論理的思考を司る左脳の一部が出血によって侵されてしまったのです。

?右脳?

 そう、
『奇跡の脳』という一冊が今私の手元にあることからも分かるように、彼女は、手術とその後のリハビリによって奇跡的な回復を遂げました。

丁寧に続かれたその途上の記録に興味を持たれた方は、どうぞ本書を手元に寄せてお読み下さい。
私は、左脳の機能停止によって彼女が味わったという至福の感覚に興味を持ちました

それはスピリチュアルの世界でよく耳にする至福感の描写とそっくりだったのです。
圧倒的な平和、宇宙との一体感、ワンネス、という感覚を、彼女はご自分の右脳から受け取っていたのです。
ですから、左脳の機能の修復に取り組みながらもジルが恐れたことは、これによって右脳によってもたらされた「宇宙との一体感」を保てなくなるのではないか?というものでした。

彼女は自分の身体を個体として捉えられるようになるのに8年間を要したと書いています。
それは、彼女がようやく個に戻ったことを示すとともに、「わたしたちはひとつなんだ」という感覚を失うこと=再び分離したことでもありました。

知りたかったのは、左脳の機能を取り戻すために、せっかく見つけた右脳の意識、価値観、人格のどれくらいを犠牲にしなくてはいけないか、という点でした。宇宙との結びつきを失いたくなかったのです。

右脳かあ。
私も持っている右脳。
いや人間誰しもが持っている左脳と右脳。
その役割が違うことや、それぞれが特徴的な働きをしているという知識は、ほんの少し、さらりとは知っておりました。
ただ、今回ジル・ボルト・テイラーによる、『奇跡の脳』を読み、右脳が人の頭蓋骨を越え宇宙に繋がっていること、またそれがスピリチュアル的な描写で語られていることに興味と面白さを感じたのでした。

 このタイトルにて続きを書こうと考えていますよ。
  *  *  *
朝日が我が家の北窓から顔を出すようになりました。