書棚の中から

町の図書館

 すでに何度か書いていますが、わが町には立派な二つの図書館があります。
しかも、同じ道沿いに・・。
というのも、以前は二つの町が有するそれぞれの図書館だったからです。
かつて鉄道が敷かれていたところが『リラ街道』という道路となり、整備され、その道沿いに立派な図書館が建てられたのです。
その後二つの町は合併いたしましたが、図書館はありがたいことに双方残されています。

いまのところ・・・と申し添えておきましょう。
 

 さて、昨日金曜日。
山の保管庫に入れっぱなしにしてあったスキー板を回収しにいくことにしました。
スキー学習も終了しましたので、もう用はないのです。
趣味で滑りには参りません。
子どものスキー学習に添うために、仕方なく板をはく、というのが私の実状。
レベルも児童以下。
まだまだ白一色の世界ですが、日差しは日に日に力を増しています。
勤務後の時間の太陽は、以前より高い場所にあり、
「春が近づいているなあ!!」
と実感できます。

帰りは久しぶりに「中湧別」の図書館に寄りました。
五鹿山のふもとにありますからね!!

書棚から引っ張り出したのはこちらの4冊.

f:id:kyokoippoppo:20210213081951j:plain:w500

アイヌ地名の南限を探る』

以前、
 北海道内にアイヌ語由来の地名が多く残ることはいうまでもありませんが、それは北海道にとどまらず、日本全国にある。
九州の「別府」もそうである。

そのような記述に接した私は「あらあ!!そうなんだ!!」
とびっくりしました。
アイヌ民族はてっきり”北方に暮らす民”だと思い込んでいたからです。

ですから、このタイトルを見た瞬間、日本各地に散らばるアイヌ語由来の地名が紹介されているのだろうと思い、興味を持ち、書棚から抜き抜きました。

ところが・・・・
違うのですねえ!!!
著者である筒井功氏の主張する南限は、うんと北なのです。

黒部は「クル・ペッ」由来
所沢は「ト・コロ」由来・・・その「音」だけでアイヌ語由来と断定する風潮に異を唱える立場です。
これでは単なる語呂合わせに過ぎないのでは・・・・?
と述べておられます。

しっかりとした条件を定めて確定しましょうよ!!
というわけです。
その条件は以下の4つ

北海道と本土のそれぞれに、同じかほぼ同じ地名が数ヶ所存在すること。
日本語では、まず解釈がつかないこと。
逆にアイヌ語だと容易に意味をつかめること。
その地名が付いた場所の地形、または地物などの特徴が、アイヌ語の意味と合致すること。

の条件を最重要視する筒井氏は、現地に赴き目で見て足で確かめ、写真を撮り検証してゆくのです。

さらには、近隣にアイヌ語由来の地名があればそれも拾ってゆきます。
それをすることによって、たしかにそこにアイヌの集落があり、周辺にも地名を残した証となるからです。


このように限定すると、アイヌ語の南限はかなり北寄りになります。


f:id:kyokoippoppo:20210213082003j:plain

そうである以上、とくに日本全国に広くアイヌ語地名が残っているとみなしている向きには、とうてい受け入れがたい極論となるであろう。
しかし、たしかにアイヌ語だといえる地名を指標にするかぎり、右の線引きには十分な根拠があることは立証が可能だと考えている。

どちらが正しいのか?
本書を読み始めたばかりの私にはわかりませんし、おそらく読み終えても分からないままでしょう。
でも確かにいえることは、この本は退屈そうでもあり、おもしろそうでもあるということ。
なので、ゆっくり少しずつ読み進めることにします。
今は第一章の「モヤ」・・・「聖なる山」が由来となっている地名の検証のページであります。



続けてよろしいでしょうか??

『身分帳』

 1990年が初版。その後絶版となり、先ごろ(2020年)復刻された本。
著者は佐木隆三氏です。(2015年に死去されております。)

『死刑囚永山則夫』を読んだことがあります。
復讐するは我にあり』は映画で・・。
そして今、復刻された『身分帳』が手元に・・・。

この作品を原案にして映画『すばらしき世界』を制作された西川美和氏監督は、本書の復刻に寄せて、次のような言葉を書いておられます。

こんなに面白い本が絶版状態にあるとは。世の中はなんと損をしているのだろう。
そしてなんと私は幸運なんだろう。いっそこのまま誰の目に触れないうちに、私がこっそり映画化する!とその夜のうちに決めた。

西川氏の作品『ゆれる』は、娘が大好きでいっしょにDVDを観ました。
この作品も素晴らしかったなあ!!!!

『すばらしき世界』は、先日公開されたばかりのようです。
観てみたいなあ!!
車で1時間走ったことろにある北見の映画館では、上映されていないわ。
残念!!

www.youtube.com



こちら、『身分帳』の巻末にある、西川氏の文章「復刊にあたって」がそのまま掲載されています。
gendai.ismedia.jp

で、本日土曜日朝の『サワコの朝』のゲストが、この映画の主役をつとめられた役所広司さんでした!!
イムリーとはこのこと!!

まずは、本を楽しみます。

追記

goldhead.hatenablog.com

黄金頭さんのブログ貼りました。

記事の中に、「ネガティブ・ケイパビリティー」のワードもあって、勝手に親近感湧いてしまって!