つぶかにしかたんすながれい

食いっぱぐれの心配ご無用

 「犬ものがたり」4つ目の記事を書こうと下書きを進めたものの、仕上がらず。
記事を「美味しいもの」に取り替えて投稿することにします。

本日のタイトル、判別できますか??
語呂良く並べたタイトルの順でお披露目します。

つぶ

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 娘が後輩からもらったというつぶ。
下処理した上で届けてくれたそうです。
なんて優しいんでしょう。

塩で洗って、茹であげて、
しょうがあえとバター炒めでいただきました。

かに

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 次男の誕生日プレゼントに「毛ガニ」をプレゼントするつもりでおりました。
しかし、コロナの影響でしばしの間ホテル暮らしになってしまった次男。
会社の方の感染が判明したため、自主的隔離をしたのだそうです。
共に暮らす人への感染を防ぐためです。

ようやく家に戻るという報告を受けたので、本日発送。
自宅用にも一ぱい買い求めました。
食べ始めてから
「あっ!!写真。」

鹿タン

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つぶをくれた後輩は、鹿タンもくれたそうです。
本日塩コショウの味付けでいただきました。
お・・・おいしい。

砂ガレイ

 f:id:kyokoippoppo:20200425203649j:plain:w400:right毛ガニを買った『湧鮮館』で見つけた砂ガレイ。
縁の黄色が特徴です。
きれいでしょ。
そして!!お値段に注目!!

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2パック買いました。
これはさっと干してから唐揚げにする予定です。











さらに・・・・
娘が焼いたパンも、ハンバーグもとっても美味しかった。

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美味しいものに恵まれた一日・・。
そして、食いっぱぐれのない我が町です。
そして我が町!!
10万円の支給が早々に!!

gunosy.com

つながってほしい

お聴き下さい

ミラノ近郊で大変な数の死傷者が出たベルガモ世界遺産があることでも有名な街ですが、そのベルガモの作曲家が医療従事者への支援と感謝の気持ちを込めてRinascero (復活=私は蘇る)という曲を作り、著作権ベルガモ市民病院に寄付しました。
Youtube等通じた再生のたびに、広告、著作権など、すべての収入がベルガモ医療崩壊を救うための寄付金となります。
一人でも多く、一回でも多くYoutubeで再生して広げていただくことが、現地支援になりますので、下記の情報を転送いただくだけでも、支援が広がります。イタリアの医療支援になりますので、もし宜しければ、他の方にもお伝え頂けたらと思います。

www.youtube.com

ラインでつながる友達からこのようなラインが送られてきました。
神奈川で、無農薬のみかんを作る農家の方です。
いえ、彼女はもと私の先輩。
神奈川県の小学校で共に働いた人なのです。
私は、たった三年で職場を去りましたが、彼女は定年まで勤めあげ、その後ご夫婦で農家を始めたのです。

在職中から少しずつ畑を整え始め、ご夫婦とも教職を定年まで勤め上げ、それからのスタート。
退職金と年金で悠々と暮らせますのに・・・・。
その年齢からみかん栽培に乗り出し、趣味ではなく商売にしようというのですから・・・私は驚いてしまいましたよ。

残り人生を、残りのお金で暮らそうとは思わなかったのですね。
みかん畑のオーナーになりたかったのではない。
無農薬のみかんを育てたかった。
作りたかったのでしょう。
   
   *   *   *

 さてさて、私が勤めた頃の学校は、ベッドタウンとして児童数が増えていた時期で職員もたくさんおりました。

それぞれの長い人生のほんの一時を、共にした仲間といえましょう。
私など早々にそこを離脱し、離れた土地へと来てしまったのですから、それっきり縁がきれても不思議はないのです。
しかしながら、なにやら細い縁でつながっております。
つながりの残った仲間が、年に一回ペースで集まってもいるようです。
私はかなり前に、一度だけ参加しました。
新宿でご飯を食べ、おしゃべりしました。

つながり

 今年のお正月、その仲間とグとループラインでつながりました。
頻繁にやり取りするわけではありません。
そう、お互いを煩わせない程度のささやかなつながりです。

先日そのラインが、YouTube動画の存在を教えてくれました。
心地よい曲を開き聴くだけで、支援になるのです。
コロナに対して手も足もでないという受身の私でも、1ミクロンくらいの何かができる・・・その手立てが目の前に示され私はうれしくなりました。


その際、皆さんとのやりとりが交わされ、それぞれの近況を知ることができました。
私は最後に
「テレトーク良か良か」
と返信しました。
テレワークならぬテレトークです。

そしてさっそくこの動画を、ラインでつながる家族親族に伝えました。
そして今朝、ブログも利用しようと思いこれを書いています。

のんちさんも・・・

 昨日のんちさんのブログを訪れましたら、この動画について書かれていました。
「あらあ!!!」
とってもうれしくなりました。
nonchi1010.hatenablog.com
のんちさんは、keisukeさんというブロガーさんからバトンをもらったようです。
keisuke42001.hatenablog.com

今、生身の人同士は、会うな、集まるなの警戒体制です。
しかし、はてなやラインでは、このようにつながれる。

YouTubeを聞けばイタリアの彼の地の医療に、小さな応援ができるのです。


今こそ、ポジティブなつながりを!!
そんなつながりを紡いでいきたいものです。

犬ものがたり③・・・そりをひく

芋づる式に思い浮かんだ本

 『その犬の名を誰も知らない』・・・・・この本のことを知ったとき、同時に頭に浮かんだのか、『極夜行』です。
何ヵ月も太陽が顔を出さない極夜の世界を、犬と共に探検した角幡唯介氏によるノンフィクションです。
こちらは北極圏の探検。
心に深く残る作品でした。
行動を共にしたウヤミリックという名の犬は、この探検 この作品になくてはならない存在です。

その犬の名を誰も知らない

その犬の名を誰も知らない

極夜行

極夜行

厳寒の極地
そりをひく犬
人との絆

二冊に共通する世界が感じられ、興味を持った私は、『その犬の名を誰も知らない』をすぐに図書館にリクエストしました。
手に届き読んだ作品は、期待を裏切りませんでした。

 この本は、第一次南極越冬隊の犬係りであった、北村泰一氏監修のもと、嘉悦洋氏によって書かれました。
タイトルだけをみれば、1968年に遺体で発見された‘’第三の犬‘’の真相を探ることが主題のように感じられますが、南極に渡った全ての犬にスポットを当てた物語となっております。

連れて行かれた犬

 そもそも、北極や南極やへ行きたい!!などと思うのは人間たちでありまして、その人間の欲望や達成感、使命感のために連れていかれたのが、ウヤミリックであり、北海道中から集められたカラフト犬たちです。
カラフト犬たちは、個別に飼われておりました。
彼らを集団として動けるように訓練するのもひと苦労だったのです。
首輪につなげは、自然にそり曳くというわけではないのですね。

 第一次南極越冬隊の犬係りであった北村氏ですが、犬に関して専門知識があるわけではありませんでした。

超高層物理学の領域であるオーロラ研究が、北村氏の本来の仕事なのです。
だからといって、犬の訓練や世話がサブ的な役割というわけではありません。
犬たちの統率、健康の管理は、この事業成功のための要でした。

 1956年、北村氏は稚内樺太犬訓練所にやってきます。
「こいつらは、いったいなんだ。犬じゃないだろう。」
北村氏の第一印象はこのようなものでした。
大きな体を持ち、猛獣のように吠えたてるどう猛な犬たち。
「俺にはコントロールてきそうもない。」
北村氏は早くも自信を失います。

 犬たちに餌をやる順番も決まっていました。
先導犬のリキはには真っ先に与えなければなりません。
彼の誇りを尊重するためです。
そのことを教わった北村氏は
「犬が誇りを持つ?犬にそんな意識はないだろう。」
と思うのでした。

そりを曳く

 箱に入れられ陸路を運ばれ、さらに海路を揺られ、犬たちは南極へやってきました。
訓練の成果を徐々に発揮し、彼らは、なくてはならない立派な戦力になってゆきます。

 円丘氷山を進む場面です。

ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。
カッ、カッ、カッ、カッ。
グッ、グッ、グッ、グッ。
犬たちの荒い息、せき込むような音、首が首輪で絞めつけられるような音が、犬たちが漸進する雪の下から聞こえてくる。
10メートルも進むと、犬たちは動けなくなる。雪の塹壕の中で次々に倒れ込む。それでも何とか立ち上がろうとする。前足を突っ張り、後ろ足をがに股のように開いて体を支え、1センチでも前に行こうとする。首に食い込むロープ。苦痛のあまりアンコが悲鳴を上げる。それでも進むもうとする。
 炎のような犬たちの闘争心。北村は圧倒された。そして叫んだ。
「トゥ!トゥ!(進め、進め)」
それは命令ではなかった。励ましでもなかった。祈りに近い不思議な感情だった。
 北村の絶叫に、真っ先に反応したのは風連のクマだ。
 太くたくましい前足に反動をつけて起き上がろうとする。ようやく前足は立ったが、痙攣しているように、ぶるぶる震えている。風連のクマは、鋭い歯をむき出しにし、後ろ足に力を込めた。立ち上がったと思った直後、滑る雪床に後ろ足を取られた。ドウッと横倒しになる。口は大きさ開き、両端から白く泡立ったよだれが噴きこぼれた。

(漢数字部分はアラビア数字で表記しました。)

 素晴らしい描写です。
人間と犬たちが一体になって進んで行く様子が伝わります。
隊員はソリの上からただ「トゥー!」
と命令を下しているわけではありません。
この場面、この犬たちが行く道はあまりに深く、ラッセルによっていくらかでもならされた道なのです。
北村氏を始めとする隊員が、ハッ、ハッ、ハッと息を切らし、犬の行く道を踏み固めてやったのです。
そりの進行速度を高めるために必要な仕事・・・汗をかけば重度の凍傷のおそれもある、厳しい行進です。

このような苦闘の末に隊員たちは、人類未踏のボツンヌーテンの麓までやって来ました。
犬たちをここに、残し隊員たちは登高にかかります。
そして・・・・頂上制覇。
真下には自分たちの黄色いテントが見え、犬たちは整然と一列に並んで待っているのでした。

犬たちは人間の気持ちをしっかり受け止める存在てある。
自らも確固たる意思を持つ存在である。

震えるような感動と共に、北村氏はそれを知るのです。

ウヤミリック


 『極夜行』で探検の共をするウヤミリック。
こちらは群れではなく一匹でのお供です。
北緯77度47分にある猟師村、シオラパルクで育った犬。

まだ一歳だった頃、ろくすっぽそりも曳けない頃からの旅の相棒でした。
この犬なしで極地を歩く気はしないと思うほど、角幡氏のウヤミリックに寄せる愛着は強いものでした。

可愛い顔をした愛嬌のある相棒なのです。

犬は一日の前半こそ息を荒げて頑張っているが、後半になると頑張りの証拠であるゼーハーゼーハーという呼吸音が聞こえなくなり、さぼっているのが、明白になった。冬に入ったばかりで訓練不足なのはわかるが、極寒の極地の旅で橇を引かない犬ほど腹立たしい存在はない。
橇には犬の餌を積んでいるだけに、疲れと寒さが重なると犬にたいする怒りを抑えるのは難しくなった。
犬の呼吸音が聞こえなくなると、私は後ろをふりむいて、「てめぇ!橇引けって言ってんだろ!」と怒鳴り気合いを入れなおした。顔も心の底からムカついていたので、自然と鬼の形相になっていたのだろう。私が怒ると犬は恐れをなして橇を引き始めるが、しかしやはり途中で疲れてしまい一日の後半になるとどうしても橇引きの力が落ちて、行動を終了した途端にうずくまってしまう。

(適宜改行をしてあります。)
(後ろを振り向き犬に怒鳴るとあり、角幡氏とウヤミリックは共にそりを引いているのでしょう。)

風で抉(えぐ)れた氷床・・・・巨大なサスツルギが広がる氷の上を、重たい二台の橇を進めてゆく場面です。

サスツルギは、雪の表面が、風で削られてできた模様です。 風の吹いてくる方が鋭くとがり、風の向きにそって、なだらかに伸びているので、その形から風の向きがわかります。 大きなサスツルギは高さ2メートルにもなります。

極度に冷えた氷は水気を含みません。
橇のランナーは、まるで砂の上を行くような抵抗を受けるのです。
ましてや
唯一の光である月が欠けてゆく頃。
角幡氏は元気のないウヤミリックを見て、
極夜病にかかってしまったのか?
と心配するのでした。

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極地


そり

・・・それらが織りなす風景を感じていただけたでしょうか?








※(「そりをひく」に関して・・嘉悦氏は「曳く」を使い、角幡氏は「引く」で表記しております。この記事では、できる範囲で著書に合わせて記述しました。)

Kyokoの偶偶石3・・・りぼん

 週末には、「偶偶石」の記事をひとつ書こうと決めました。
ラフに、気ままに、楽しくをモットーに書こうと思うものの、何だか苦し紛れの、絞りだしのような作業です。

でも、続けますよ。

昨晩ながめた石。
撫でさすり、名前を授けようとするも
「う~む。」

断念しておやすみなさいをしました。
朝、目覚ましに急かされたわけでもないのに、5時には目がさめました。

ふっと「リボン🎀」
が浮かんだのでそのまま採用。
偶偶石・・・・3『りぼん』
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りぼんといいます。
個性的でありたかったの。
結び目を持っていたかったの。


流れついたところで
息をつき
ゆるんで
ほっとしていたら
その人が、
「紅くてきれい」
とつぶやいて
拾い上げました。

一番花

思わずパチリ

 春の日差しが強く、心地よい風が吹いた土曜日の午前中でした。
昨年は「お庭」のカテゴリでたっぷり書いたので、今年は庭の様子は記事にしないつもりでした。

しかししかし・・・今年初めての庭仕事をするため、外に出た私・・・花を見ればやはり写真に収めたくなるのです。
だって、今年初めての花の出現なのですもの。
結局こんなブログを綴っております。
明日(19日)は穀雨
暦の上では「晩春」になるのですが、こちらの春はまだまだこれから!!
若々しくフレッシュです。

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言わずと知れたクロッカス。

蕾を持っているのは何という名前でしょうか?
そのうち茎を伸ばしてピンク色の花を咲かせます。
追記・いただいたコメントにて知りました。ヒマラヤユキノシタという花でした。
botibotiさん(inuwan33の日記)ありがとうございます。)


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水仙とチューリップの緑がやっと顔を出したものの、まだまだ昨年秋の枯れ色と、片付けきれなかった枝々が残る庭です。
まだこんな状態。
荒れ荒れです。
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お隣さんのお家の東側にあった小さい名残り雪です。
これらが姿を消しても、また降雪に見舞われる日もあるかもしれません。


庭仕事が増えると忙しくなるなあ!!
時間がいくらあっても足りないよ。

そう思っていた矢先に電話が鳴りました。
孫のかわいい声が聞こえます。
「ばあば!!おにわに花がさいた!!!!」

まあ、来いってことです。
仕事中断!!
娘たちが住む住宅の庭に咲いていたのが、こちら。
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f:id:kyokoippoppo:20200418185850j:plain:w200:left白い小花は「アズマイチゲ」でしょう。
紫の蕾は名前知れず。

おやつ作り

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 午後は我が家に二人が来ておやつ作り。
愛犬ブウタロウのおやつも作りましたよ。
小麦粉、ヨーグルト少々、牛乳少々、オリーブオイル少々をこねこねして。
これは孫の担当です。
ママは美味しいスコーンを作りました。

テーブルがあまりに混沌としていており、
「きれいな場所がないよ。」
と娘は笑い、床に置いて写真を撮りました。(葉っぱの皿の方ね!)






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 その後ブウタロウのお散歩にいった時は、早くも空気が変わっており、北風が冷たく吹いていました。
「さむさむさむさむ」
まだまだ油断できません。

犬ものがたり②・・・第三の犬

『その犬の名を誰も知らない』の感想文

 まずはこの本について書きましょう。
本のあらすじやポイントを、的確に伝えるのはなかなか難しいです。
ネットからあらすじを引っ張ってきて、貼り付けて済ませてしまいたくもありますが、ここは自力でがんばってみましょう。

大切な序章ですから。
感想文の形で綴ってみます。

かすかな記憶の「タロ」と「ジロ」

 南極に置き去りにされた犬が生き残っており感動をもたらした・・・・そんなことがあったようだ。

私が知っていたのはここ止まりでした。
そのニュースは1959年のもの。
私は生後一年ですので、生々しいニュースとして知ることはそもそも不可能でした。
ただ、その後の生育過程で「タロ」「ジロ」という名を耳にした覚えはあります。
母親が語って聞かせたものか?
何かの読み物で知ったものか?

映画『南極物語』が公開されたのは、1983年のこと。
二頭発見の24年後の作品です。
私はこの作品も観ておりません。

二匹の犬と探検家の感動的な出会い・・・という月並みなイメージだけが、私の持つ全てでした。

ですからこの本に書かれていることは、初めて知るに等しいものばかりでした。
まず、その新鮮さがあったのです。

”第三の犬”

 しかし、『南極物語』をご覧になった方や、この出来事に多くの関心を寄せていらっしゃった方にとってさえも、新鮮な驚きや新たな興味となるであろう新事実がこの作品で語られております。

南極で働いた全ての犬にスポットを当てながら、
”第三の犬”という表現で語られる犬を、解明していく・・・・そんなストーリーとなっております。
さて、
”第三”とは?どういうことか?

  *  *  *
 
 その犬は遺体で発見されました。
1968年の冬のことです。
タロジロ生存が確認された年の9年後。
しかし、それはニュースにはなりませんでした。
発見時遺体でありましたから、生存して対面したタロジロほどのニュース性がなかったことは否めません。
また、遭難後行方不明となっていた福島伸隊員の遺体が時を同じくして発見され、そちらが大きなニュースになったことも要因の一つとみられます。

しかし、第一次南極越冬隊の犬係であった「北村泰一」氏にとっては、極地に残してきた犬の遺体発見は、大きな関心事となりうるものなのです。

それなのに北村氏が、この事実を知ったのはなんと1982年のこと。
第三の犬の発見から14年も経っていました。
え????どういうこと??
何故???

そもそものそんな謎を起点として、この物語は始まります。

残された犬たち

 第一次越冬隊が撤収したとき残された犬は、15頭でした。(南極へ行った19匹のうち、2匹は死亡、1匹は行方不明となっていた。また1匹だけは収容された。)
一年後・・・・・・

首輪から逃れ生きていた2頭
首輪から逃れ、基地を離れたと思われる6頭
首輪から逃れられず餓死した7頭
が確認されました。
しかし、後に発見された1頭。
これは、首輪から逃れたものの基地を離れなかった1頭ということになります。
6頭のうちの1頭。
生き残ったタロジロと共に暮らした可能性のある1頭ともいえるのです。

北村氏は当然、このことの解明に乗り出しました。
しかし、当時は社会的に多忙であり、調査は思うように進みませんでした。
その後体調を崩し、精力的な活動もできぬまま年を重ねていたのです。

遠い過去の掘り起こし

 そんな北村氏を喜悦氏が訪ねたのは、2018年の2月頃です。
タロジロ再会の年から60年目の節目であり、このことを詳しく知りたい取材したいと思っていた喜悦氏でした。

当時の隊員で犬係だったもう一人の隊員、菊池徹氏はすでにお亡くなりになっており、このことを詳しく知る人は北村氏ただ一人となっておりました。
しかも北村氏は87歳を迎えようという老齢の身。
犬たちの話を詳しく聞く、最後のチャンスだったのです。

北村氏が生活する老人ホームを尋ねた喜悦氏は、そこで、初めて「第三の犬」の話を聞きました。

言葉を失った。

信じがたい証言だった。

喜悦氏はこのように書いています。
そう、この犬のことは全く報道されませんでしたので、タロジロとは対照的に知る人は皆無という状況だったのです。


「知っていることを話して下さい。」
喜悦氏はそのように呼びかけました。
それに応じた北村氏は
「動けなくなった自分に協力してほしい。是非このことを解明してほしい。」
と頼んだのてす。

「実は頼みがあります。」
北村氏の表情にはノーと言わせない覚悟が刻まれていた。
「私は第三の犬の正体を何としても解明したい。
それを手伝ってもらえませんか。それから犬たちがどう生き、どう死んだのか、全てを証言しますから、それを記録に残してほしいのです。」

「犬たちは物言わぬ越冬隊員。タロとジロ以外は今もなお、名もなき存在のままです。だからこそ、彼らが南極で苦しんだり喜んだりした全ての真実を、世の中に知ってもらいたい。そうでなければ私は死んでも死にきれない。」

 喜悦氏の仕事は、自分の興味や満足を越えるものとなりました。
北村氏の悲願を自分のものとし、動き始めたのです。
何処へともなく散らばった大量のピースを、丁寧に集め、はめ合わせていく作業が始まりました。
そのピースは、北村氏の忘れ果てた記憶のさらに奥底からもすくいあげられてゆきました。
膨大な資料の中の・・・1ぺージの中の・・・さらに数行からもすくいあげられてゆきました。
そのような労力の末に世にだされた一冊なのです。

涙あふれるも

 これは、読者の涙を誘うために書かれたものではありません。
北村氏は科学者の態度を貫き、嘉悦氏は報道の世界に身を置いたものの矜持を保ちながら執筆にあたりました。
第三の犬に関しては、写真を含むほとんどの証拠が残されておりません。
ですからどんなにあがいても、これに関しては記憶、憶測の外に出ることはできません。
しかしだからこそ、その検証はより味わい深く感じられました。
客観的に語られる犬たちの姿に、心が激しく揺さぶられました。

19匹の犬。
そりを引く犬。
雪の中から掘り起こされた犬。
タロとジロと北村氏。
本の中で見ることができるそれらの写真。
それを見るだけで私はぶわっと涙が出ます。






彼らはもう、名もなき犬ではない。
愛しく、頼もしく、立派な越冬隊員たちなのです。

犬ものがたり ①

これ!読む!

 はてなブログでは、読んだ本の紹介をしてくださる方がたくさんおられて、それは本好きの私にとっては楽しみなことです。
しかし、実際に手に取る本というのは自分の琴線に触れたものとなるわけで、紹介されたものであれ、図書館で目に触れたものであれ、絶賛されたものであれ、結局自分のフィルターをくぐり抜けなければ、「読む」行為にはたどり着きません。

 ブログによって出会い、最近読んだ本が『白の闇』「白の闇」ジョゼ・サラマーゴ著 - ururundoの雑記帳

白の闇

白の闇


であり、先日読み終わったものが、『その犬の名を誰も知らない』です。
『その犬の名を誰も知らない』は、sayoさんhttp://profile.hatena.ne.jp/planet2019/のブログで紹介されておりました。

その犬の名を誰も知らない (ShoPro Books)

その犬の名を誰も知らない (ShoPro Books)

  • 作者:嘉悦 洋
  • 発売日: 2020/02/20
  • メディア: 単行本

「これ読もう!」
と思いました。
そして、その思いと共に頭に浮かんだのが、
『極夜行』であり、
『熱源』です。
『その犬の名を誰も知らない』
と共有できる世界があることを感じたからです。
『極夜行』と『熱源』は、共に強い印象を残した作品です。
通りすがりで通過していく作品ではなく、私の心に根を下ろし張られてゆくような感覚を持ちました。
ブログでの記録も残しております。
kyokoippoppo.hatenablog.com
kyokoippoppo.hatenablog.com


『その犬の名を誰も知らない』『極夜行』『熱源』で描写されている世界。
そこに共有するものを、ブログにまとめ書き残したいと思いました。

自分の満足と楽しみのために

 そのような思いに、またまた捕まってしまったのです。
何のため?
って、もう自分の満足のため以外には何も無し!

「この人しつこいわ。」
と思った方は遠慮なくスルーして下さいませ。
そう宣言すれば、私は自由!

 迷わず連載にしましょう。
鉛筆握ってまたまた、図を書いてみました。
これをすると頭の中が整理され、すっきりするのてす。

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ビックリうれしや

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 3冊の本に加え、ある新聞の切り抜きを関連付けて書いてゆきます。
この記事こそ、先日乱雑な新聞切り抜きの中から発掘しようとした一枚です。
混沌の中に放り込まれた切り抜き。
切り抜いた記憶が確かにあったので、諦めず探したわけです。





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「出てきた出てきた!!」・・・・
ほっとして、すぐに写真に収め一安心したのでした。
しかし、図を書きながら
日付をメモすることを忘れていることに気づきました。
そもそも、切り抜きと言ってもハサミも使わず指でちぎり取っておりまして、そんなもんですから日付をメモする余裕もなかったのでしょう。

ああ、うっかりだ!
と思いつつ、電子版の記事が探し出せないか?だめ元でも良いし・・・と検索にかけたのです。
北海道新聞」「朝の食卓」「蘂取はるかなり」
・・・・。
そこにで見つけた有力ページを開いてみました。









おおお!そしたら何と!
「朝の食卓」当記事の執筆者「谷内紀夫」氏によるページでした。

しかもそれは・・・・・・はてなブログ!!

朝のうれしいビックリでした。



ということで、何回になるかわからない連載、はじめます。
それぞれの本については次回から・・。